古生物復元模型大会ブログ。ロゴイラスト(ダンクレオステウス)は守亜和由紀さんによるものです。
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「恐竜模型展示室」主催・ふらぎと
「AEG自然史博物館」主催藤森英二による
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基本的に不定期に行われる統一テーマのもと、皆様からお送り頂いた復元模型を紹介しています。

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徳川広和「ダンクレオステウス」

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作品名 ダンクレオステウス 
学名 Dunkleosteus terrelli

作品サイズ 32cm
材質 ファンド(石粉粘土)

私のネタ選びには珍しく、今回はド直球で勝負してみました。
というか、直球ネタとマイナーネタの2体を造る予定だったのですが、
後者が間に合わなかったのです。

・頭部
 世界中で展示されているダンクレオステウスの頭部ですが、そのオリジナルはクリーブランド自然史博物館のもののようです。ですが、それぞれの展示物により微妙な顔付きの違いがあり、どれを元にするかで雰囲気が結構変わるように思います。その違いの生じた理由は分りませんが、今回はネット上で見つけた頭骨の側面写真(フィールド博物館の物)と各論文等に引用されている頭骨図のバランスを基本に、2008年にクリーブランド自然史博物館を訪れた際に画像を撮ったダンクレオステウス頭骨の形状の要素を盛り込んで製作しています。どちらかといえば直線的な顔つきでしょうか。一方で、以前ディニクチスとして論文等に引用される事が多かった頭骨図は丸顔で、そちらのイメージもなかなか魅力的ではあります。
 ダンクレオステウスに関しては、顎の可動に関する研究も発表されており、それによると口を開く際には、下顎が下がると同時に、上顎と胴体部の装甲との繋ぎ目にある関節部(?)も可動し、上顎も上にあがるようです。その点も留意し造形しました。その研究によれば、この模型よりももっと大きく顎が上下に開くようです。口の中に関しては、現生のサメをそのまま参考にしています。考察不足の感が否めませんが、どんな古生物でも口腔内の軟組織は毎回どうしていいやら途方に暮れる部分です。

・胴体
 ダンクレオステウスの胴体を考察する際には、胴体部が発見されている数少ない近縁種であるコッコステウスを参考にしない訳にはいきません。当初はコッコステウスのプロポーションをベースに製作、一度は塗装前まで完成させていました。当然尻尾は横に長いタイプとなります。大型の軟骨魚類という事で中~大型のサメのような縦に細長い三日月型の尾ビレも考えましたが、現生のホホジロザメのような機敏な動きが出来たようには思えず、また近縁種で良い標本が残っている以上、それを参考にするのが無難と考えたのです。が、その後、とある研究者さんとお話していた折に、ジンベイザメやウバザメのような、それほど機敏には泳がないサメでも大型の種類であれば三日月型の尾ビレを持っている事を指摘され、ダンクレオステウスのような巨体の持ち主であれば三日月型の尾ビレでも良いのでは、と考え変更しました。ただし、骨が入っていない尾ビレ下側は大型のサメに比べ大きさ控え目にしています。これは特に理由はなく、何となく、です。また、ヒレがサメに近い構造である事を示唆する標本・研究もあり、全体的にも大型のサメに似た形状で完成させています。となると、胸ビレももっと長さのある形でも良かったかな、とちょっと後悔していたり。また、コッコステウス型の胴体の異質な雰囲気もやはり捨て難いところです。
 胴体の装甲部と背ビレの間にあるウロコ(?)は完全に想像です。ダンクレオステウスとはちょっと系統が離れますが、板皮類の中には全身がしっかりとしたウロコで覆われた状態で発見されている種類もあり、それならサメ型の復元を採用しつつも、少しはウロコの部分も残っていたりしないかな~という事で。造形的にも、ちょっとアクセントが欲しかったですし。ちなみにオスとして造形しています。

・色
 全くの想像です。結局サメ型の胴体としての造形になったので、胴体はベタにサメっぽい色です。背ビレ、尾ビレの先には少しアクセントを入れています。と、全体としては胴体は無難な色になったので、頭部と胴体の装甲部分は派手目に。

 胴体が難しいのは予想通りでしたが、頭部についても魚の基本的な知識の無いこともあって、意外に苦戦しました。正直に言えば、顎関節周りの構造や筋肉がどうなっているか、ほとんど理解していません、、、。また、これまであまり魚類の造形の経験が多くないという事で、「魚らしさ」の表現のツボが掴み切れていないもどかしさも。あとは、まぁ何といっても、前回の絶滅哺乳類大会の「毛が無いネタばかり選んでスイマセン」に続き、今回も「ウロコの無いネタ選んでゴメンナサイ」です。




主な参考資料

「The Rise Of Fishes」(Johon A.Long)
「Swimming in Stone」(Johon A.Long)
「Early Vertebrates」(Philippe Janvier)
「Placodermi (Handbook of paleoichthyology)」(R.Denison)
「古生代の魚類」(J.A.モイ-トマス、R.S.マイルズ)
「恐竜解剖」(クリストファー・マクガワン)
「サメ・ウォッチング」(ビクター・スプリンガー、ジョイ・ゴールド)
「世界サメ図鑑」(スティーブ・パーカー)

・The vertebrate fauna of the Cleveland memer(famennnian) of the Ohio shale( Robert K.Carr and Gary L.Jacson)
・The ancestral morphotype for the gnathostome pectoral fin revisited and the placoderm condition(Robert K. Carr, Herve Lelievre and Gary L. Jackson)
・PLACODERM BRANCHIAL AND HYPOBRANCHIAL MUSCLES AND ORIGINS IN JAWED VERTEBRATES(ZERINA JOHANSON)
・DID PLACODERM FISH HAVE TEETH?(GAVIN C. YOUNG)
・http://www.foxnews.com/story/0,2933,232600,00.html
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by tf-paleo | 2010-11-30 11:17 | 絶滅魚類大会
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